「ねえ、もっともっと飛ばしてよ!」
「おお、わかった!」
「ところでこのオートバイ、なんで走ってんの?」
「何でって、走ってなきゃ倒れちまうからさ」
「そうじゃなくて、どんな燃料で走ってるのかって聞いてんの」
「あ、それは花さ」
「え、花?」
「ああ、花を摘んでこのでっかい李朝の白磁の壺に放り込むだろ」
「ええ」
「そしたらキムチみたいに発酵して強烈なエネルギーを出すんだ」
「ひゃあ」
「それで走ってる。時速千キロだ。リニアモーターカーよりずっと早い」
「へえ、そうなんだー。で、私たちどこ行ってんの?」
「そりゃあ花がいっぱい咲いてるとこさ」
「ふーん...」
「あ、白い花!」
「おお、道しるべだ」
「方角は間違っていないぞ」