白土三平の漫画「カムイ伝」には幾度となく、百姓や非人たちが手に手に武器を取り、大岩の影や大樹の下に集合する場面が描かれる。圧政を行う統治者に抗うため、反乱の決起をしている場面だ。それが何十年も前から心に焼き付いていて、い …
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「夢みる人」
19世紀は帝政ロシアの思想家にアレクサンドル・ゲルツェンっていう人がいる。生涯にわたり “反・専制” 、 “反・農奴制” の活動を行ない、ときに「社会主義の父」と呼ばれたり …
「小さきものの死」
十九の春、大学2年生。熊本は銀座通りの紀伊国屋書店にプロレスか卑猥な雑誌を立ち読みしに行った帰りしなのことだったと思う。出口に向かって歩いていたら後ろからぐいと両肩を掴んで引き寄せるものがある。誰だ!と振り向いたらそこに …
「小さな車」
昭和の9年に生まれた父は、今年の6月で88歳。年相応に身体も頭もヨボヨボだ。先月、久しぶりに実家へ帰った際、縁側でうたた寝してるのを引っ張り出してきて五目並べをやった。そうしたら結構できたので、「まだそんな頭の残っとらし …
「夏個展2022」
年が明けてしばらくした頃、若年の頃からとても世話になっている姉貴分から電話がかかってきた。遅れた新年会の誘いだと思いきや、自分が関わっているギャラリーで個展をやらないかというものだった。なんでも、市からコロナ関連の支援金 …
NANA SAUVAGE (野生の女)
奈良時代初期に編纂された「肥前風土記」によると、我が故郷、長崎県は佐世保市の早岐、針尾のあたりは、かつては速来(瀬戸の潮が速く来ることから)と呼ばれていたそうで、その付近一帯は速来津姫(ハヤキツヒメ)を長とする土蜘蛛一族 …
「花と怒り」ドキュメント
みなさん、こんにちは、今回は、友人に撮影してもらった映像作品の案内です。 この秋、長崎で花の絵ばかりの個展を行ったのですが、その様子を、同地在住の映像作家である藤崎淳くんに撮影してもらいました。 実のところ最初は、「Yo …
「冬個展’21のお知らせ」
田舎の小さなバス会社に勤めていた父は、仕事で観光地を訪れるたび、小さな置き物をお土産に買ってきた。 それを応接間の飾り棚に並べ、洋物のウイスキーかなんかを飲みながら眺めていた。 物心ついた時にはすでにちょっとしたコレクシ …
「秋個展のお知らせ」
「おいおい、また個展やんのかよ、夏やったばっかなのに...」 と、鬱陶しく思われてもしょうがないのですが、二回延期になっておりました長崎での個展を来月、やっぱり開催することにいたしました。 この「花と怒り」というタイトル …
「夏個展のお知らせ」
みなさんこんにちは。 お元気でしょうか。 すっかりご無沙汰して、申し訳ありません。 このブログ、ここのところちっとも更新していません。 それで、ごくごくたまに「どうしたんだい?」と聞かれるのですが、 それは絵ばかりを描い …
プチキチ
連絡がたいそう遅くなってしまいましたが、予定しておりました4月の長崎個展は、諸事情により10月に延期することになりました。 2年ぶりということでとっても気合が入っていたのに残念です。 ひそかに楽しみにしていてくださった方 …
東京プチ個展のお知らせ
今月末より、とても久しぶりに東京で個展を行うことになりました。場所は友人がはたらいている本屋さん。誠品書店という名で、去年、台湾からやってきた本屋さんです。 展示するのは近年描いた人物と花の絵がそれぞれ13点、計26点の …
「面影ロック」~冬個展のお知らせ
ここ一年ばかり気軽に外出もままならず、やたらめったら人恋しかったのと、ネット上などで垣間見る人々の顔がとてもつまらなく感じたのとで、気がついたらば「ああ、こんな人がいたらいいのにな、会いたいなあ...」と思うような人の姿 …
炊飯器
15年くらい前、まだベルギーはブリュッセルに暮らしていたときのこと、数週間ばかりイタリア旅行に行って帰ってきたら世話していた植物が枯れてしまっていた。うっかりしていたのか、水やりを頼むつてがなかったのかもう忘れちまったけ …
金子文子シリーズ その40
「ふりかざす ひとりきたえた いしのけん ひよるやからを こっぱみじん」 文子の腰巻に「太」っていう文字が縫い込められてますが、これはおそらく当時、「不逞」という言葉を使うとお上にしょっ引かれるので、その代わりに「不逞→ …
「ムーンライト兄弟仁義」(新・西郷その15)
(西郷)おい月照、改造手術受けて生き返った気分はどうだい? (月照)どうだい?って気軽に言うなよな。つうかさ、なんでおれ骸骨チックなんだ? (西)え?チックって何? (月)~風とか~的ってことだよ。 (西)ああ、”骸骨み …
「岩より堅き西郷の壁」(新・西郷その14)
(西郷)やめろ (官軍)邪魔するな、そいつはスピード違反だ (西)見逃せ、病人に花を届けているのだ (官)違反は違反だ、そこを退け! (西)ふう...お前らもっと他にする事があるだろう 西郷、官軍の下っ端どもを打ち据えた …
金子文子シリーズ その39
「でもくらし つちをたがやし たねをまき さくもつつくる どみんせいかつ」 さて、今回はいきなり石川三四郎登場。 気が向いて高島野十郎自画像風に肖像画を描いてはみたがイマイチ、つうかイマジュウだぞ。 ところで木下尚江に「 …
「虎薔薇ヶ原」(新・西郷その13)
えーん、えーん ちくしょう、ちくしょう... おい、おまえ、どうした、何を泣いてる? おお虎よ聞いてくれ 昨晩、寂しかった俺の心の庭に真っ赤な薔薇が咲いた おお、それは良かったな ところがだ、その薔薇には鋭く尖った刺が無 …
金子文子シリーズ その38
「あんたらが なんといおうが なにしよが あたしはあたし ぼうじゃくぶじん」 ずいぶんとむかし、今世紀初頭、生まれ故郷の佐世保の街ではじめて個展をひらいたとき、美術をやってるという高校生がふたり、絵を見にきてくれた。 彼 …
「ぶち上げ要塞ヤポネシア号」(新・西郷その12)
「ぶち上げ要塞ヤポネシア号の歌」 死んでいった者たちへ 鎮魂の歌を運ぶのが俺の仕事 両の脇腹にはどでかいウーハー メロウでファンキー、サイケな音楽 曇った空にがなり立て 湿った土に捻り込む 奴らはふかふかベッドの真ん中 …
金子文子シリーズ その37
「ねえあんた えんりょしないで おあがりよ ひもじいときは おたがいさまさ」
「獄中夢中読書中」(新・西郷その11)
「おい西郷、何をしてる」 「リルケの書いたロダン論を読んでいる」 「そんなもの読んで何の役に立つのだ?」 「じゃあ聞くが、おまえら役人は何の役に立っているのだ?」 「おまえが逃げぬように見張ってる」 「はっはっはっ、役立 …
金子文子シリーズ その36
「あらなあに あんたもいっしょに いきたいの あばれたいのね つれてってあげる」
「サボテンプテーション」(新・西郷その10)
おい、お前、サボッテンだろう? サボッテンじゃないサボテンだ。 ええい、どっちでもいい、早く農民どもを捕まえてこい。 いやだ。 何い、貴様あ、二等兵の分際で士官の俺にたてつくのか。 ああ、そうだ。俺はさっき、雪の中にサボ …
金子文子シリーズ その35
「おすとめす のらいぬにひき つれだって こっかいぎじどう しょうべんかけよ」
金子文子シリーズ その34
「すずなりに ぶらさがってる ますかっと あなたらひとふさ あたしひとつぶ」
「スーパー蜜柑3号」(新・西郷その9)
「西郷盗賊団の歌」 ぶっ飛ばせ 突っ走れ 駆け抜けろ 唸る爆音 通り沿いの人勘弁しておくれ 土よりいでた この身体 天からもらった この仕事 君らのために 行動するぜ あの丘に立つでかい屋敷 プール付きだ そこでへらへら …
金子文子シリーズ その33
「はなとじゅう りょうほうあげる かんがえて ひとにむけるの どちらにするか」
「おれの日常、お前の日常」
ずいぶんと昔ベルギー住まいだった頃、柄にもなくパリに拠点を置くイラストレーターのエージェントに名を連ねていたことがあった。他のメンバーはエール・フランスだとかエヴィアンだとかの大きな仕事をもらってスポーツカーなんかをビュ …