「春個展’22のお知らせ」

昨年に引き続き、長崎での個展を行います。
前回は花の絵でしたが、今回は人物画ばかりをおよそ50点展示いたします。
(旧作と新作が半々くらいになると思います)

「NANA SAUVAGE」(フランス語で”野生の女”の意)と題しての個展は、福岡、東京につぎ今回が3回目です。
いずれも、自由奔放で身勝手で反抗的、でも心根は優しい女性が主に登場します。
(詳細はこちらで→アルヒノオト

展示会場となるのは例年の如く、窓下に出島を見下ろすとても古いビルの一室です。
散歩がてらにでも、ふらりとお越しいただければ幸いです。

日程:2022年5月14日(土)~6月5日(日)
( 会期中の金、土、日)
時間:13:00-19:00
場所:List:(リスト)
長崎市出島町10-15 日新ビル202
TEL :080-1773-0416

NANA SAUVAGE (野生の女)

奈良時代初期に編纂された「肥前風土記」によると、我が故郷、長崎県は佐世保市の早岐、針尾のあたりは、かつては速来(瀬戸の潮が速く来ることから)と呼ばれていたそうで、その付近一帯は速来津姫(ハヤキツヒメ)を長とする土蜘蛛一族の村であったそうだ。

”土蜘蛛”っていうのは能楽の演目や妖怪の名前として聞いたことある人がいるかもしれないけれど、『古事記』や『日本書紀』などの神話や伝説に登場する大和朝廷に服従しなかった辺境の民、いわゆる「化外(けがい)の民」の蔑称だ。
日本の各地に住んでいた先住民で、穴居生活をしていたことからこの名称が生まれたそうなんだけど、彼ら”土蜘蛛”たちは「まつろわぬ人々」として朝廷からすごくさげすまれた。
と、同時にすごく畏怖されていたんだそうだ。

風土記にこんな話がのっている。

時の景行天皇が九州各地の熊襲(くまそ)を征伐して宇佐浜の行営におられる時、たまたま速来村の土蜘蛛が乱を起こした。
天皇はさっそく陪従の神代直(かみしろのあたい)をつかわして、これを討たしめられた。

土蜘蛛の本拠速来で、女酋速来津姫を捕らえた直(あたい)は、姫から建津三間という男が美しい玉を持っていることを聞いて、これを建村の里(今の早岐付近の土地と思われる)に襲った。しかし三間は隙を見て逃げ出したので、直は時を措かずすぐにこれを追いかけた。

そして遂に石山嶺(今の九十九島湾岸の石岳)で捕らえ、二つの玉を奪った。なおこの時、直は三間から篦梁(の梁)という酋長も美玉を持っていることを聞いたので、ただちに川岸の村にこれを襲い、その玉をまた手に入れた。

こうして三つの玉を手に入れた直は、意気揚々として凱旋、これらを天皇に献じた。

この”玉”っていうのはおそらく、現在も当地の名産品である真珠だと思われるけど、それにしても美しい玉を持ってるからって、何にもしてないのにそれを襲って有無を言わさず力づくで奪うって、ひどい話だぞ。

さて、この土蜘蛛、最近読んだ文章の中にも出てきて、ちょっと嬉しかった。
大正時代の社会主義者である堺利彦が自身の故郷、大分は豊津について書いたものだ。

「自ら称して『土蜘蛛の子孫』といふ。そこに先ず、私としての、多少の誇りがある。(中略)私は九州人である。九州は大和民族発祥の地たること勿論だが、同時に又、隼人の国でもあり、熊襲の国でもある。殊に九州の中、私の生まれ故郷なる豊前の国は、土蜘蛛の国としてもまた有名である。(中略)由来この豊津辺は、歴史を通じて支配力の中心地であった。反対に又、土蜘蛛、熊襲等の立場からすれば、反抗力の中心地でもあった。」(『中央公論』1930年12月号)

堺は色紙に揮毫を頼まれると「土蜘蛛の子孫」と書いていたんだそうだ。

ところで、自分の生まれ故郷にまつわる古い話を最初にしてくれたのは、中学校の先生でちょっとした郷土史家でもあった母方の伯父である。
彼によると、我らが祖先を辿っていくと松浦党(西海地方を荒らしまわっていた海賊まがいの弱小武士団)に行き着いたということだった。

さらに、古代人の人骨の研究をしている友達に言わせると「アジサカさんの頭蓋骨はまさしく”縄文人”の形」だそうなので、以上のことを踏まえるならば、わが祖先は ”竪穴住居に住んでたけどのちに海に出て海賊になった土蜘蛛”ってことに間違いなさそうだ。

だとしたら 、どういうわけか幼い頃から、強大なもの、偉そうに権威をひけらかしてるような人たち、が大っ嫌いだった理由もおのずと推測される。つまりは、太古のむかし、持ってた美しい玉をそいつらに奪われちまったからだ。

なので、毎日飽きもせず絵を描いているのは、というか描かずにはおれないのは、きっとそれが子孫に課せられた、美しい玉を取り返す作業だからなんだろう。

そして、そんな血潮の流れた手が描く女の子は、きっとご先祖様の酋長である速来津姫(ハヤキツヒメ)に、どことなく似ているに違いない。

と、そんな女性たちのポートレートがずらりと並んだ個展が、来月から始まります。

お気が向いたら、どうぞふらりとお越しください。

アジサカコウジ春個展2022
「NANA SAUVAGE#3」

日程:2022年5月14日(土)~6月5日(日)
( 会期中の金、土、日)
時間:13:00-19:00
場所:List:(リスト)
長崎市出島町10-15 日新ビル202
TEL :080-1773-0416

新春特別展のお知らせ

おかげさまで先日無事終了いたしました冬個展「西郷さんシリーズ・南の国からの反逆者」ですが、好評につき年明けに、4日間だけ延長して開催していただくことになりました。

つきましては新春ということで花を添えるべく、新旧の女の子のポートレート10点も同時に展示いたします。
うっかり年末に見逃した方、「西郷は良いけど娘さんの絵が見たかったよなあ...」と思われていた方、この機会にどうぞお立ち寄りください。
日程などの詳細は以下のとおりです。

アジサカコウジ特別展 2022
「西郷と十人の女」
会期:2022年1月9日(日)~12日(水) 
時間:13:00-18:00
場所:EUREKA 福岡市中央区大手門2-9-30-201
TEL :092-406-4555

「花と怒り」ドキュメント

みなさん、こんにちは、今回は、友人に撮影してもらった映像作品の案内です。

この秋、長崎で花の絵ばかりの個展を行ったのですが、その様子を、同地在住の映像作家である藤崎淳くんに撮影してもらいました。

実のところ最初は、「YouTubeで見れる”画集”みたいなものを数分で」と持ちかけたのですが、「そんなの”動画”でやったって面白くも何ともないですよ」ということで、ドキュメンタリー風の作品を撮ってもらうことになったものです。

ドキュメンタリーということで、友人や知人のインタビューなどが入り、本人としては大変に居心地が悪い場面が少なからずあります。
それで、ちょっぴり公開をためらったのですが、やはり一つの映像作品として優れている(めちゃめちゃ限られた条件の中、一つのドキュメンタリー作品として成り立たせている)と思うので、こうして広く見ていただくことになりました。

作品の中にアジサカ本人は出てきませんが、これは単純に(写真や動画の中で)自分自身の姿を見るのも見られるのも苦手だからです。
また、せっかくインタビューさせていただいたのに割愛せざるをえなかった方々や場面が少なからずあります。編集の都合上、致し方ないことで、「時間をとっていただいたのに申し訳ありません」と、ここで深くお詫びを申し上げます。

映像を載せていただいてるYouTubeのチャンネルは藤崎くんがやっているnormaです。
ここでは主に、精神を中心とした障害福祉サービス事業所に集う人たち、その日常を写したドキュメンタリーが公開されています。
「フラミンゴ失調症」という彼のライフワークともいえるシリーズで、とても味わい深く見応えのある作品です。
是非ご覧になっていただけると嬉しい限りです。

そして、願わくばチャンネルの登録と、周囲の方々へのお知らせを何卒よろしくお願いいたします。

「花と怒り」ドキュメント

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